第44回日本脳科学会大会長のご挨拶

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第44回日本脳科学会
大会長 中村和彦
 この度、平成29年10月14日(土)、15日(日)の両日に第44回日本脳科学会を弘前市で開催させて頂くことになりました。東北地方では久しぶりで、青森県での本学会の開催は初めてです。私ごとですが日本脳科学会が日本脳研究会の頃、平成4年第19回脳研究会(岡山)で、「シトクロムP-450db1の脳内活性」で初めて発表させて頂きました。それから四半世紀過ぎ、本学会を主催させて頂くことは身に余る光栄でございます。
 本大会テーマは「子どものこころの脳科学」とさせて頂きました。子どものこころについては未解決な問題が多々あります。昨今特に連日のように、いじめ、子どもの自殺について次から次へと報道されています。しかしそれらに関する対策は後手に回っています。なぜなら、学校の子どもたちのこころの問題について科学的エビデンスがあまりにも少ないゆえ対策を立てられないのが現状です。
 地方では、学校の統廃合が進み、子どもたちの生活基盤が崩れ、歩いて通えないほど学校が遠くなり朝早くからバスで通う必要があり、地域で落ち着いて生活し勉強する環境がなくなりつつあります。学校へ行っても、ネット社会の渦におぼれ、LINEなどに支配され、気に入らないとすぐに仲間外れにされ、いじめられ、孤立します。自宅に帰れば、家族とコミュニケ―ションが希薄でゲームに没入します。臨床場面で子どもたちと話をしていても何がどのようになっているか見当がつかないことが多くなりました。ゆえに現代の子どもたちの劣悪な環境が脳機能にどのような影響を与えるかは未解明な大きなトピックスです。
 本大会では、このテーマをもとに基礎医学、臨床医学、心理学、教育と様々な分野から、多数の発表を賜り、活発な討議のもとで、子どもたちの未来を語る会にして頂きたく思います。
 本学会では、お二人の先生を御招待し特別講演をして頂きます。Helen Korneva教授(ロシア医学アカデミー (RAS)、 サンクトペテルブルグ実験医学研究所(IEM))が「Immune system and the brain in health and disease」と題する講演をしてくださることになりました。そして第43回脳科学会を開催されましたJiankang Liu教授(School of Life Science Xi’an Jiaotong University)にご講演頂きます。
 第1日目の夜には懇親会を行います。青森県の食材や地酒を用意いたします。さらに今回は余興として、津軽三味線の演奏をお楽しみ頂きます。また、優れた内容を発表した若手研究者(37歳以下)3名の奨励賞の授賞式も行います。若手の方の多くの発表をお待ちしております。
 学会の初日の昼には時間に余裕がありますので、会場近くの散策は如何でしょうか。弘前はお城と桜とりんごの街です。戦時空襲がなく今も建物が残されている城下町です。弘前城を有する弘前公園(ミシュラン観光一つ星)へは徒歩数分です。10月は紅葉シーズンで、もみじや桜の葉の紅葉がみられます。特に桜の葉の紅葉は、葉が残る寒い地域の特色です。公園の近くには藤田記念庭園 洋館(ミシュラン観光一つ星)など明治の洋館が数多く残っています。そして夏のねぷた祭を体験できるねぷた村もあります。まわりには一休みできる喫茶店も多くおいしいアップルパイはいかがでしょうか。さらに弘前大学の東側には禅寺の寺院がひろがり、ミシュラン観光で二つ星の長勝寺三門があります。10月はりんごのシーズンです。青森県はりんごの生産高が毎年1000億円あります。つがる富士と言う美しい山の岩木山の方に車で5分ほど向かうと赤や黄色の様々な種類のりんごがたわわに実っているのが見られます。りんご公園が観光スポットです。りんごには早生、中生、晩生種があり、ちょうど中生種が始まったころです。弘前は火山地帯なのでどこでも温泉が出ます。温泉に入られるなら、岩木山のふもとの温泉街の旅館にお泊りになるとよいと思います。弘前の地酒はおいしく、豊盃、じょっぱりなどがあります。お時間があれば、紅葉の奥入瀬渓流、十和田湖、白神山地にも足を伸ばせますが一日ほどかかります。
 それでは、皆様の御参加を心よりお待ちしております。
平成29年4月吉日
第44回日本脳科学会大会長
弘前大学大学院医学研究科神経精神医学講座 教授
弘前大学大学院医学研究科附属子どものこころの発達研究センター センター長
中村 和彦