第52回日本脳科学会大会長のご挨拶 Information


第52回日本脳科学会
大会長 佐藤 康二

この度、僭越ながら第52回日本脳科学会をお世話させていただくことになりました浜松医科大学・器官組織解剖学の佐藤でございます。浜松では2000年と2013年に森則夫先生が、そして2021年に福田敦夫先生が開催され、今回で四回目となります。期日は11月29日(土)と30日(日)で、会場は浜松市中心部にある浜松市地域情報センターであります。

今大会のテーマは「伝える・つなぐ・そして未来へ!!」とさせて頂きました。神経系の研究は、患者様の検体へのアクセスの難しさや、検査法の開発の困難さなどから、他分野より遅れて来たことは否めません。私自身、東北大学の小児科に四十年前に入局しましたが、当時の神経グループは、血液、循環器等の他のグループに比べて上記の点でかなり後塵を拝しており、忸怩とした思いを持っておりました。その後、基礎研究としては、分子生物学の発達によりNMDA受容体をはじめとした様々な重要な蛋白質のクローニングがなされ、それをもとに、免疫組織化学、in situ hybridization法等を用いて脳の精緻なマップ作りが進んで参りました。私自身も微力ながらその一翼を担えたものと自負しております。また、臨床研究としてもMRI, PET等の画像診断が急成長し、様々な疾患に関する膨大な知見が集積されております。

そのような知見や経験を次世代に「伝える」「つなぐ」ことが我々の世代の使命であり、本学会の使命の一つとも言えます。本学会は、脳と心に関する基礎から臨床さらに心理や教育分野の研究者が相集い、一つの会場で共に議論するという最大の強みを持っている稀有な学会であり、本学会から未来に繋がる研究が生まれることを期待し「そして未来へ!!」というテーマにさせて頂きました。精神神経疾患や神経難病そして発達障害の原因を解き明かし、予防・治療・機能回復の方法や、健全な精神の成育に向けた教育に至るまで、重い扉を開いて明るい未来を夢見ることができるような展開が本学会から始まることを切に願っております。

本大会より、会長招宴が中止となりましたので、理事会・評議員会も大会期間中には行わず、事前にオンラインで行わせて頂きます。懇親会を含めて浜松に来てよかったとご満足して頂けるよう、教室員一同尽力いたしますので、多くの皆様のご参加をお待ちしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

2025年4月吉日

第52回日本脳科学会大会長
浜松医科大学・医学部・器官組織解剖学講座・教授